2020年10月から酒税が段階的に変更。理論上、ビールは値下げ、第3のビールは値上げ!?

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(以下の内容は、国税庁「平成29年度税制改正」のうち一部を抜粋し、2020年8月30日現在(2020年10月5日更新)の情報に基づき、筆者作成)

2017年4月の税制改正により酒税法が改正され、2020年10月1日より酒税が段階的に変更になります。

本記事においては、酒税法の改正のうちビール系飲料の税率の見直しを取り扱っています。

清酒、果実酒、リキュール、蒸留種類等の税率の見直しに関する記事は、「2020年10月から酒税が段階的に変更。理論上、日本酒は値下げ、ワインは値上げ!?」を併せて参照ください。

税制改正の目的

類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、ビール系飲料や醸造酒類の税率格差の解消を図ることを目的に改正されました。

税制改正の内容(ビール系飲料の税率の見直し)

今回の改正は、財政物資としての酒類の位置付け等を踏まえ、主にビール系飲料の酒税が見直しされることになりました。なお、税率の見直しは、消費者や酒類製造者への影響に配慮して、十分な経過期間を確保しつつ段階的に進められます。また、税率の段階的な見直しは、その都度、経済状況を踏まえ、酒税の負担の変動が家計に与える影響等を勘案した上で実施されます。

ビール系飲料の酒税の段階的な見直し>(注)税率は350ml換算。小数点第2位未満四捨五入で表示。

品目等〜2020年9月30日2020年10月1日〜2023年10月1日〜2026年10月1日〜
ビール77円70円63.35円54.25円
発泡酒46.99円46.99円46.99円54.25円
第3のビール28円37.8円46.99円54.25円

ビール、発泡酒、第3のビールの違い

ビール、発泡酒、第3のビールというのは、酒税法上の課税区分の品目等を指しており、定義は、それぞれ以下の通りです。なお、今回の税制改正では、ビール系飲料の酒税の見直しに合わせて、ビール系飲料の定義の見直しも順次実施されます。

品目等改正前の定義改正後の定義
ビール①麦芽・ホップ・水・法定副原料
のみ使用
②麦芽比率67%以上
①麦芽・ホップ・水・法定副原料
のみ使用
②麦芽比率50%以上
発泡酒①麦芽を使用①麦芽を使用
②ホップを使用
③その他のビール類似商品
第3のビール①エンドウたんぱく・ホップ等を使用
②発泡酒(ホップ使用)に麦スピリッツを混和
発泡酒に統合

ビール系飲料の今後の販売価格の動向

酒税の段階的な見直しは、その都度、経済状況を踏まえ、酒税の負担の変動が家計に与える影響等を勘案した上で実施されるとのことですが、筆者記事作成時点(2020年8月30日)においては、見直しについての議論は行われていないため、予定通りに実施される見込みです。

2020年10月から酒税が段階的に変更されることで、理論上、ビールは値下げ、第3のビールは値上げされることになります。

<ビール系飲料の販売価格の見通し>(注)350ml。消費税等は、税抜価格で表示。

品目等〜2020年9月30日2020年10月1日〜2020年10月1日〜2023年10月1日〜2026年10月1日〜
ビール205円198円
(予想)
198円
(実際)
191.35円
(予想)
182.25円
(予想)
発泡酒152円152円
(予想)
152円
(実際)
152円
(予想)
159.26円
(予想)
第3のビール133円142.8円
(予想)
143円
(実際)
151.99円
(予想)
159.25円
(予想)
※コンビニにおける2020年8月30日現在(2020年10月5日時点の情報を追記)の販売価格を調査し、国税庁「平成29年度税制改正」を考慮の上、筆者作成。

ビール系飲料の販売価格は、発泡酒と第3のビールの販売価格の差は19円ですが、これは、現行の酒税の差分であることが確認できました。

また、2020年10月5日現在においてコンビニの販売価格を確認したところ、概ね予想通りの価格表示でした。

今後の販売価格は、コンビニの販売価格で確認可能なところであり、税制改正による影響の変化が感じ取りやすいところです。また、酒税の見直しが販売価格に素直に価格転嫁されるのか、それとも企業努力等により価格が据え置きされるのか、注目したいところです。

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