2018年10月から2022年10月まで加熱式たばこに係るたばこ税の課税方式が段階的に見直し。アイコス(iQOS)に含まれるたばこ税を調査。

たばこ税
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(以下の内容は、国税庁「平成30年度税制改正」のうち一部を抜粋し、2020年9月6日現在の情報に基づき、筆者作成)

2018年4月の税制改正によりたばこ税法が改正され、2018年10月1日から2022年10月1日までの間、加熱式たばこに係るたばこ税の税率が段階的に見直しされることとなりました。

本記事においては、たばこ税法の改正のうち加熱式たばこの新課税方式を取り扱っています。

葉巻たばこ税の税率に関する記事は、「2018年10月からたばこ税が段階的に見直し。理論上、2021年10月まで値上げは継続か!?」を併せて参照ください。

税制改正の目的

加熱式たばこは、紙巻たばことの代替性が高く、紙巻たばこと同様の価格帯で販売されているにもかかわらず紙巻たばこと比べて低い税負担額となっており、税負担の公平性の観点から問題が生じていました。

また、紙巻たばこから加熱式たばこへの消費のシフトが急速に進んでいる状況を踏まえると、財政面からも早急な対応が必要となっていました。

その他、現在販売されている加熱式たばこの製品ごとの製品重量も大きく異なる結果、加熱式たばこの製品間においても税負担の公平性の確保が必要になったこと等を鑑み、改正が行われました。

税制改正の内容(加熱式たばこの課税区分の新設および課税方式の見直し)

近年急速に市場が拡大している加熱式たばこについて、加熱式たばこの課税区分を新設した上で、その製品特性を踏まえた課税方式に見直されました。

一方で、開発努力を行った企業や消費者への影響に配慮し、2018年10月1日から5回に分けて段階的に移行します。

加熱式たばこの新課税方式について

国税庁のウェブサイトにも記載があるとおり、加熱式たばこの紙巻たばこの本数への換算方法は非常に複雑となっています。

(注1)「紙巻たばこ1本当たりの平均小売価格」とは、紙巻たばこ1本当たりの国及び地方のたばこ税並びにたばこ特別税に相当する金額の合計額を100分の60で除して計算した金額をいう。

(注2、3)加熱式たばこの紙巻たばこの本数への換算方法の見直しについては、激変緩和等の観点から、2018年10月1日から2022年10月1日までにかけて、段階的に行う。
 具体的には、上記計算式の注2、注3に記載している率は、下表の期間に応じて、次のとおり。

加熱式たばこの新課税方式に基づくたばこ税の計算結果

代表的な加熱式たばこであるマールボロ・ヒートスティック・レギュラーを参考に計算してみました。

課税重量や販売価格は、フィリップ モリス ジャパン合同会社(以下、PMI)のプレスリリースにおいて確認が可能でしたのでそれを利用しました。なお、当該計算結果は、筆者の独自見解に基づくものでありますのでご参考程度にお願いします。

代表的な加熱式たばこ(マールボロ・ヒートスティック・レギュラー)におけるたばこ税の税率の段階的な見直し(要約)>(注)記載内容は、筆者の推測を含む。

〜2018年
9月30日
2018年
10月1日〜
2019年
10月1日〜
2020年
10月1日〜
2021年
10月1日〜
2022年
10月1日〜
①課税本数15.7本15.87本16.14本16.25本16.18本〜
16.46本
16.29本〜
16.65本
②紙巻たばこ1本あたりの税率12.244円13.244円13.244円14.244円15.244円15.244円
③加熱式たばこ一箱あたりの
たばこ税(①*②)
192.23円210.18円213.75円231.46円246.64円〜
250.91円
248.32円〜
253.81円
※PMIの過去のたばこ事業法に基づく申請手続きおよび認可手続きに関するプレスリリースの内容を調査し、国税庁「たばこ税法の改正」等を考慮の上、筆者作成。

代表的な加熱式たばこ(マールボロ・ヒートスティック・レギュラー)におけるたばこ税の税率の段階的な見直し(計算式)>(注)記載内容は、筆者の推測を含む。

計算ルール〜2018年
9月30日
2018年
10月1日〜
2019年
10月1日〜
2020年
10月1日〜
2021年
10月1日〜
2022年
10月1日〜
①加熱式たばこ一箱あたりの
 課税重量(改正前)
15.7g15.7g15.7g15.7g15.7g
②経過措置1.00.80.60.40.2
③加熱式たばこの新課税方式
(A=①*②)
15.7本12.56本9.42本6.28本3.14本
④加熱式たばこ一箱あたりの
 課税重量(改正後)
6.1g6.1g6.1g6.1g6.1g
⑤経過措置0.20.40.60.81.0
⑥加熱式たばこの新課税方式
(B=④/0.4*0.5*⑤)
1.22本2.44本3.66本4.88本6.1本
販売価格(税込)460円500円520円550円570円〜590円
(予想)
570円〜590円
(予想)
⑦販売価格(税抜)425.93円462.97円472.73円500円518.19円〜536.37円518.19円〜536.37円
⑧紙巻たばこ1本あたりの税率12.244円13.244円13.244円14.244円15.244円15.244円
⑨加熱式たばこの新課税方式
(C=⑦/⑧*0.6*0.5*⑤)
2.09本4.28本6.31本8.16本〜
8.44本
10.19本〜
10.55本
⑩課税本数=③+⑥+⑨15.7本15.87本16.14本16.25本16.18本〜
16.46本
16.29本〜
16.65本
たばこ税=⑩*⑧192.23円210.18円213.75円231.46円246.64円〜
250.91円
248.32円〜
253.81円
※PMIの過去のたばこ事業法に基づく申請手続きおよび認可手続きに関するプレスリリースの内容を調査し、国税庁「たばこ税法の改正」等を考慮の上、筆者作成。将来の情報については、一定の前提を置いて試算。

加熱式たばこの販売価格の今後の動向

たばこ税の税率の段階的な見直しは、2021年10月までです。また、加熱式たばこは、経過措置により2022年10月まで段階的に増税される見込みですが、葉巻たばこと加熱式たばこの販売価格が概ね同水準であることを鑑みると、加熱式たばこのみの販売価格が改定されることは考えにくいと思います。

一方で、販売数量の更なる減少等を理由に加熱式たばこを含む葉巻たばこの販売価格の値上げを行う可能性も考えられますので、今後もその動向には注目していきたいと思います。

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