(以下の内容は、国税庁「平成29年度税制改正」のうち一部を抜粋し、2020年10月6日現在の情報に基づき、筆者作成)
2017年4月の税制改正により酒税法が改正され、2020年10月1日より酒税が段階的に変更になります。
本記事においては、酒税法の改正のうち清酒、果実酒、リキュール、蒸留酒類等の税率の見直しを取り扱っています。
ビール系飲料の税率の見直しに関する記事は、「2020年10月から酒税が段階的に変更。理論上、ビールは値下げ、第3のビールは値上げ!?」を併せて参照ください。
税制改正の目的
類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、ビール系飲料や蒸留酒類等の税率格差の解消を図ることを目的に改正されました。
税制改正の内容(清酒、果実酒、リキュール、蒸留酒類等の税率の見直し)
今回の改正は、財政物資としての酒類の位置付け等を踏まえ、清酒、果実酒、リキュール、蒸留酒類等の酒税が見直しされることになりました。
なお、税率の見直しは、消費者や酒類製造者への影響に配慮して、十分な経過期間を確保しつつ段階的に進められます。また、税率の段階的な見直しは、その都度、経済状況を踏まえ、酒税の負担の変動が家計に与える影響等を勘案した上で実施されます。
<清酒、果実酒、リキュール、蒸留酒類等の酒税の段階的な見直し>(注)清酒、果実酒の税率は720ml換算。小数点第2位未満四捨五入で表示。
品目等 | 〜2020年9月30日 | 2020年10月1日〜 | 2023年10月1日〜 | 2026年10月1日〜 |
清酒 | 86.4円 | 79.2円 | 72円 | 72円 |
果実酒 | 57.6円 | 64.8円 | 72円 | 72円 |
リキュール 蒸留酒類等 | 57.6円 | 57.6円 | 57.6円 | 72円 |
清酒、果実酒、リキュール、蒸留酒類等の違い
清酒、果実酒、リキュール、蒸留酒類等というのは、酒税法上の課税区分の品目等を指しています。
品目等 | 品目等の例示 |
清酒 | ①日本酒 |
果実酒 | ①ワイン |
リキュール、 蒸留酒類等 | ①梅酒 ②チューハイ |
清酒、果実酒、リキュール、蒸留酒類等の今後の販売価格の動向
2020年10月から酒税が段階的に変更され、理論上、日本酒は値下げ、ワインは値上げされることになります。
値上げの対象となるワインについて、アサヒビールのサンタ・ヘレナ・アルパカ・シラーを対象に、コンビニにおける店頭販売価格の状況を確認してみました。
<サンタ・ヘレナ・アルパカ・シラーの店頭販売価格の見通し>(注)720ml。消費税等は、税抜価格で表示。
価格の種類 | 〜2020年9月30日 | 2020年10月1日〜 | 2023年10月1日〜 |
店頭販売価格 | 545円 | 553円 | 561円 (予想) |
小売希望価格 | 660円 | 660円 | 660円 (予想) |
少し前の話になりますが2018年4月には、税制改正とは関係なく、各国ワイナリーの蔵出し価格の上昇等を理由に小売希望価格が改定された実績はありますが、それ以後、小売希望価格の改定は行われていません。
https://www.asahibeer.co.jp/news/2017/1206.html
2020年5月19日付で、2020年10月1日に施行される酒税税率改正に伴い、国内で販売するビール・新ジャンルの全ブランド、発泡酒(麦芽比率50%以上)、ワイン(アルコール10度未満の発泡性を有するワイン・甘味果実酒を除く)を対象に、生産者価格(コンビニにおけるワインの仕入価格)は2020年10月1日より改定される旨がアサヒビールよりプレスリリースされています。
https://www.asahibeer.co.jp/news/2020/0519.html
2023年10月にも酒税の見直しが予定されていますが、生産者価格および店頭販売価格は変更される可能性は高いと想定されます。
今後の販売価格は、コンビニの販売価格で確認可能なところでありますので、酒税の見直しが店頭販売価格に素直に価格転嫁されるのか、注目していきたいと思います。