(以下の内容は、財務省「令和2年度予算、令和2年度補正予算および財政状況と国債残高」のうち一部を抜粋し、2020年10月18日現在の情報に基づき、筆者作成)
令和2年度(2020年4月1日〜2021年3月31日)の当初予算案の成立
令和2年度(2020年4月1日〜2021年3月31日)の当初予算は、2019年12月20日に政府案閣議決定ののち、2020年3月27日に政府案通りに成立しています。

2020年6月末まで実施されたキャッシュレス・ポイント還元事業(クレジットカードや電子マネーでの決済でポイントが還元される制度)や2020年7月より実施開始のマイナンバーを活用した消費活性化策(マイナポイント事業)は、記憶に新しいところです。

一般会計歳入は収入を、一般会計歳出は支出を差します。
一年間の収入(租税及び印紙収入、その他収入)が70兆円に対して、経費(基礎的財政収支対象経費)が79兆円、借金の返済(国債費)が23兆円あるので、それを賄うために借入金の借り換え(公債金)32兆円を実施している状況です。
令和2年度(2020年4月1日〜2021年3月31日)の当初予算を踏まえた一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移は、次の通りです。

一般会計税収は、税制改正(例えば消費税の増税)等も寄与し、過去最高の税収を記録していました。一方で、一般会計歳出は、100兆円を維持する計画になっていましたので、国の財政状況は、少しずつですが健全な状況に戻りつつありました。
国の財政状況(貸借対照表)について
国(一般会計及び特別会計)の貸借対照表は、財務省の「債務管理リポート2020」で公開されています。
負債の部の公債が国債残高を表していて、2019年3月31日時点の残高で986兆円です。

令和2年度(2020年4月1日〜2021年3月31日)の補正予算案の成立
新型コロナウイルス感染症の発生により状況は一変。
令和2年度(2020年4月1日〜2021年3月31日)の補正予算案(第1次。補正予算の追加歳出計31.9兆円)は、2020年4月7日に政府案閣議決定ののち、2020年4月30日に政府案通りに成立しています。
令和2年度(2020年4月1日〜2021年3月31日)の補正予算案(第2次。補正予算の追加歳出計25.7兆円)は、2020年5月27日に政府案閣議決定ののち、2020年6月12日に政府案通りに成立しています。
これまで温めてきた予算案をここぞとばかりに詰め込んできた、そんな印象さえ感じます。


新型コロナウイルス感染症対策による緊急財政支出後の今後の動向
新型コロナウイルス感染症対策による緊急財政支出については、一定の理解を示しつつも、一般会計収入の税収を当初予算案から変更していない点については懐疑的な印象です。
過去の事例においては、2011年3月の東日本大震災後においては、2011年12月2日に東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)が公布され、「復興特別所得税」及び「復興特別法人税」が創設されています。
今後も国の財政状況は、ニュースや財務省のウェブサイトでも確認可能なところでありますので、今回の財政支出を受けて令和3年度(2021年4月1日〜2022年3月31日)以降の予算案がどのようになるのか、注目していきたいと思います。