(以下の内容は、国税庁「平成30年度税制改正」のうち一部を抜粋し、2020年8月31日現在の情報に基づき、筆者作成)
2018年4月の税制改正によりたばこ税法が改正され、2018年10月1日から2021年10月1日までの間、たばこ税の税率が段階的に見直しされています。
本記事においては、たばこ税法の改正のうちたばこ税の税率の引き上げを取り扱っています。
加熱式たばこ税の税率に関する記事は、「2018年10月から加熱式たばこに対するたばこ税の課税方式が見直し。税額の計算方法を調べてみました。」を併せて参照ください。
税制改正の内容(たばこ税の税率の引上げ)
今回の改正は、高齢化の進展による社会保障関係費の増加等もあり、引き続き国・地方で厳しい財政事情にあることを踏まえ、財政物資としてのたばこの基本的性格を鑑み、たばこ税の税率を1本当たり3円 (1箱当たり60円)引き上げられることになりました。
なお、消費者・葉たばこ農家・たばこ小売店等への影響に配慮し、2018年10月1日から1本当たり1円(1箱当たり20円) ずつ3回に分けて段階的に実施されます。
また、製造たばこの小売定価の改定については、たばこ事業法に基づき、たばこメーカー等が申請を行い、財務大臣の認可を受けることとされています。
<たばこ税の税率の段階的な見直し>(注)税率は1箱換算。
品目等 | 〜2018年9月30日 | 2018年10月1日〜 | 2020年10月1日〜 | 2021年10月1日〜 |
紙巻たばこ | 244.88円 | 264.88円 | 284.88円 | 304.88円 |
紙巻たばこの今後の販売価格の動向
たばこ税の税率の段階的な見直しについては、その都度、経済状況を踏まえ、たばこ税の負担の変動が家計に与える影響等を勘案した上で実施される旨の記載はありませんので、ほぼ確実に増税がなされると見て間違いないでしょう。
2020年7月31日に日本たばこ産業(JT)が、2020年10月1日からのたばこ税増税等に伴い、増税分以上の定価改定を伴うたばこの小売定価改定の認可申請を財務大臣に対し行なったと発表しましたが、これは、たばこ事業法に基づく申請手続きになります。
https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/pdf/2020/20200731_09.pdf
この申請手続きは、8月19 日に申請通りの認可を受けています。
https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/pdf/2020/20200819_J03.pdf
過去2年間においても、たばこ事業法に基づく申請手続きおよび認可手続きが実施されています。
2019年8月6日申請 → 2019年8月21日認可
2018年8月14日申請 → 2018年8月27日認可
<代表的な紙巻たばこの販売価格の推移>(注)消費税等は、税込価格で表示。
代表的な紙巻たばこ | 〜2018年9月30日 | 2018年10月1日〜 | 2019年10月1日 | 2020年10月1日〜 | 2021年10月1日〜 |
セブンスター ピース(20本入) | 460円 | 500円 | 510円 | 560円 | 590〜610円 (予想) |
メビウス | 440円 | 480円 | 490円 | 540円 | 570〜590円 (予想) |
ピアニッシモ | 450円 | 480円 | 490円 | 540円 | 570〜590円 (予想) |
2018年10月および2020年10月においては増税分以上の定価改定が実施されています。
また、今後の販売価格は、日本たばこ産業(JT)のプレスリリースで確認可能です。また、たばこ税の税率の見直しが販売価格に素直に価格転嫁されるのか、それとも増税分以上の定価改定されるのか、注目したいところです。